ヒラドツツジ(平戸つつじ)

ヒラドツツジの花
写真 ヒラドツツジ
撮影時期 2009.4.18
栽培状況 庭植え

科名

ツツジ科

属名

ツツジ属

学名

Rhododendron x pulchrum

園芸分類

常緑中木

別名

(特にありません)

原産地

日本

主な用途

庭植え

花期

4月〜5月

【ヒラドツツジについて】

ヒラドツツジ(平戸つつじ)は、琉球産のケラマツツジとモチツツジ、キシツツジなどの自然交雑によってできた品種群、そして、実生によって作り出された品種群を指しますが、古くから主に長崎県平戸市で栽培されてきたことからその名が付いています。クルメツツジと同様、たくさんの品種があります。

常緑ツツジの中では、株が大きくなります。刈り込みに耐え、萌芽力が強いことから、温暖地においては街路樹としてよく使われており、見かける機会が多いツツジです。

ヒラドツツジの花は、ほとんどが一重ですが、大輪で美しい色彩の花が多く、また、株を覆うように一斉に咲きますので、満開のときの美しさは例えようもありません。

【栽培メモ】

私も大好きな花木で、何種類か植えていますが、シンクイムシとも呼ばれるベニモンアオリンガの幼虫に花芽を食べられると花が咲かなくなります。やっかいなことに、毎年のように発生しますので、薬剤散布が欠かせなくなっています。

【育て方は下へ ↓ 】

【ヒラドツツジの概要】

樹高

常緑で、放任すると樹高は2〜3m程度になります。

この花の特徴は、いずれも大輪で、大きいものは10pを超えます。

花の色は、白、桃、赤、赤紫とあり、色の濃淡もいろいろです。多花性で大輪の花が満開のときは素晴らしい景観をつくります。

温暖地では、木の伸びもよく、街路樹や公園によく植栽されています。

ヒラドツツジの花

耐寒性・耐暑性

耐寒性 比較的強い
耐暑性 強い

温暖地に向いたツツジですが、比較的耐寒性があります。ただし、寒冷地にはやや不向きと言えます。

(強い、比較的強い、やや弱い、弱い、の4区分。判断基準は、こちら

栽培難易度

やさしい

(やさしい、比較的やさしい、やや難しい、かなり難しい、の4区分)

学名の説明

Rhododendron・・・・・・ギリシャ語の rhodon(バラ)+ dendron(樹木)が語源です。

pulchrum・・・・・「美しい」

【主な種類と品種】

'大紫'

ヒラドツツジの代表的品種で、ケラマツツジとキシツツジの交雑によって生まれたといわれています。赤紫の大輪で、強健なので最も多く植えられています。

'曙'

大紫の枝変わりによって生まれたもので、淡桃色で白覆輪の大輪種です。よく植栽されており、桃色の花はまずこの品種と考えて間違いありません。(写真:下から2枚目)

'舞姿'

桃色の巨大輪で、大変美しい品種です。

'白妙'

曙の枝変わりで、白花では最もよく植えられています。

【 育て方 】 −私はこう育てる−

栽培のポイント

※ ベニモンアオリンガの幼虫の防除が大切です。

植え付け

苗木は、園芸店やホームセンターなどにも出ていますし、種苗会社のカタログにも載っていますので、これらから手に入れることになります。

植え付けは、秋でも、春でも可能です。ただし、秋の植え付けはあまり遅くならないようにしたいところです。

植え付ける際は、苗木の大きさにもよりますが、通常は根鉢の2〜3倍の植え穴を掘って、掘り出した庭土に3割程度の腐葉土(又はバーク堆肥)を入れて庭土とよく混ぜ合わせて植えつけます。

木が大きくなりますので、鉢植えにはあまり適していませんが、大きめの鉢を使えばある程度までは栽培可能です。

ヒラドツツジの花

鉢植えの用土

やや酸性の土壌を好みますので、鹿沼土と腐葉土(又はバーク堆肥)を7対3ほどの割合にしたものなどに植えつけます。

植え場所

日当たりと水はけのよいところに植えつけます。日当たりが悪いと、花付きが悪くなります。

株間

非常に丈夫で、枝の伸びもよいので、2株以上植えるときは、余裕があれば少なくても1〜1.5mぐらいの間隔で植えたいところです。

植え替え

鉢植えは、2年に1回程度の目安で植え替えます。10号鉢ほどの鉢の大きさになるまでは、一回り大き目の鉢に植え替えていきます。

日常の管理

鉢植えは、夏場の水切れに注意します。

剪定

自然のままでもそれほど樹形は乱れませんが、全体を切り詰めるための剪定は、花後あまり間をおかずに、遅くても7月中には終えるようにします。

秋以降の剪定は、伸びすぎた枝など特に邪魔になる枝を整理する程度にとどめます。

冬の管理

関東以西の温暖地であれば鉢植えも戸外で大丈夫ですが、寒冷地は霜の当たらないところに移した方が無難です。

ふやし方

6月下旬頃、今年伸びた充実した枝を10pほど切り取り、十分に吸水させたあと鹿沼土に挿します。乾燥させないように管理すれば、比較的容易に発根します。

ヒラドツツジの花

肥料

肥えたところなら特段肥料を与えなくてもよく育ちますが、与えるなら油カス主体のものを2月頃施します。

鉢植えは、3〜4月と9月頃に置肥をします。

病気・害虫

栽培するうえで、特段の問題はないですが、病害虫には注意します。最大の害を与えるのは、ベニモンアオリンガの幼虫です。

この害虫は、蕾を食い荒らしますので、何もしないと翌年花がみえなくなってしまいます。しかも、よく発生してやっかいです。

私は、7月〜10月までカルホス乳剤を3〜4週間に1回散布していましたが、この薬剤は、今は販売中止になっています。これに代わる薬剤としては、オルトランでしょうか。

4月頃に葉が白っぽくなるようなら、グンバイムシが発生しています。

もうひとつ、やっかいなのは、せっかく咲いた花が茶色に腐ってしまう病気です。これは、雨によって広がります。ベンレート水和剤を散布するのと、病気になった花を残さないように、花後に剪定します。

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