クリナム

クリナムの花
写真 クリナム・パウエリー
撮影時期 2010.6.12
栽培状況 庭植え

科名・属名

ヒガンバナ科
ハマオモト属

園芸分類

春植え球根

別名

(特にありません)

原産地

アジア、アフリカの熱帯〜亜熱帯、日本

用途

庭植え、鉢植え

花期

5〜8月

【クリナムについて】

クリナムは、アジアやアフリカの熱帯、亜熱帯に約130種が分布しているヒガンバナ科の大型の宿根草です。大変丈夫ですが、やや寒さに弱いので、どちらかといえば温暖地向きです。

大型の球根ですので、鉢植えで育てるには少し窮屈ですが、関東以西の温暖地では、多くの品種が庭植えで冬を越し、毎年美しい花が咲きます。

クリナムにはいろいろな種類がありますが、よく見かけるのが比較的耐寒性がある種間交配種のパウエリーで、白花の咲くパウエリーアルバや赤花のエレンボサンケットなどもよく栽培されています。

なお、耐寒性がないクリナム・アマビーレは、別に取り上げています。また、ハマユウ(ハマオモト)もこの仲間ですが、こちらも別に取り上げています。

【栽培メモ】

パウエリーなどよく出回っている種類は、霜除けをしていない場合、少し強い霜に当たると地上部が枯れ込んでしまいますが、春になると葉を伸ばしてきます。

花も大きく魅力があり、植えっぱなしにできますので、温暖地では育てやすい球根だと思いますが、株が大きくなります。なお、このところ、ハマオモトヨトウの食害がひどくなってきています。

【クリナムの概要】

クリナムの花
パウエリーアルバ(撮影日 2009.5.30)

草丈

小型のもので50p、大型になると1mほどになります。

ユリに似た花が横向きあるいは下向きに咲きます。花色は、白、ピンク、濃紅色などがあります。

耐寒性・耐暑性

耐寒性 やや弱い
耐暑性 強い

半耐寒性ですので温暖地では庭植えで冬を越しますが、それ以外の地域では、庭植えの場合は霜除けが必要になります。

(強い、比較的強い、やや弱い、弱い、の4区分。判断基準は、こちら)

栽培難易度

やさしい

(やさしい、比較的やさしい、やや難しい、かなり難しい、の4区分)

学名

Crinum

学名の説明

Crinum・・・・・ギリシャ語の crinos(ユリ)が語源です。

pouelii・・・・・イギリス人の育種家ポーウェリー(Powell)の名前にちなんでいます。

ellen bosanquet・・・・・この種類を作り出したアメリカ人 Louis Bosanquet の妻の名前にちなみます。

【主な種類と品種】

パウエリー
C. × pouelii

クリナムの中でよく見かける種類です。比較的耐寒性がありピンクの花が咲きます。

パウエリーアルバ
C. × pouelii ‘Album’

パウエリーの白花です。(写真:上から2枚目)

エレン・ボサンケット
Crinum × ellen bosanquet

草丈80pで、花色は濃紅色です。耐寒性はパウエリーと同程度です。(写真:下から2枚目)

‘ミセスジェームズヘンドリー’

白花で、花弁の先がほんのりとピンクを帯びます。(写真:最下段)

【 育て方 】 −私はこう育てる−

栽培のポイント

※ 庭植えの場合は、4〜5年ほどたつと花数も減ってきますので、分球して植え替えます。

植え付け

クリナムは、やや寒さに弱いので暖かくなった4月頃が植えつけの適期です。有機質に富んだ肥沃な土壌を好みますので、植え穴に腐葉土かバーク堆肥などを入れて、庭土とよく混ぜ合わせて植えつけます。

植えつける深さは、球根の三分の一ほどが見える程度にします。植えた年は葉の展開が遅くなりますが、日当たりと水はけのよいところに植えてあれば心配はいりません。

大型の球根植物ですので、鉢植えで育てるなら、8号以上の大きい鉢を使います。

クリナムの花
エレン・ボサンケット(撮影日 2003.7.17)

鉢植えの用土

市販の園芸用培養土もしくは赤玉土と腐葉土(又はバーク堆肥)を7対3程度に混ぜたものなどを使います。

植え場所、置き場所

庭植えの場合は、肥沃で日当たりのよいところが適地です。また、水はけの悪いところは避けるようにします。

鉢やプランターで育てる場合は、葉が出てきてから休眠期に入るまでは、日当たりのよいところに置いて育てます。

株間

大型の品種は40〜50pほどにします。

植え替え

温暖地であれば、庭植えの株は毎年掘り上げる必要はなく、数年間は植えっぱなしにできます。4〜5年ほどたつと花数も減ってきますので、分球して植え替えます。

もっとも、パウエリーなどは、長いこと植えっぱなしにしておくと根が広がりすぎて、植え替え作業に手間がかかります。

鉢やプランターで育てている場合は毎年植え替えますが、大きめのプランターでは2年に1回でも差し支えありません。

植え替えの時期は、気温が上がってくる4月〜5月頃に行います。

日常の管理

花が終わったら、タネをつけないよう花茎を切り取ります。そのままにしておくと、株に負担をかけますし、長い花茎が倒れて見苦しくなります。

冬の管理

種類によって耐寒性が異なりますが、上の品種種は比較的耐寒性があり、関東以西の温暖地では、庭植えにした場合、特に霜除けしなくても冬を越します。少し強い霜に当たると葉が枯れ込みますが、春になると元気に葉を伸ばしてきます。

ただし、株が小さいときや、特に寒さの厳しいときは霜除けをした方が安心です。また、温暖地以外では、霜除けが必要です。

鉢やプランターでに植えている場合は、霜の当たらない軒下に置くようにします。

ふやし方

植え替えのときに、分球して増やします。

クリナムの花
‘ミセスジェームズヘンドリー’(撮影日 2024.7.16)

肥料

庭に植える場合は、植え付け時に緩効性の化成肥料を元肥として与え、後は、芽が出てきたら1月〜2か月に1回、緩効性の固形肥料を株元に施します。

鉢やプランターで育てる場合は、植え付け後から1〜2か月に1回程度、緩効性の固形肥料を置肥します。併せて、月に1〜2回程度液肥を与えます。

病気・害虫

ハマオモトヨトウの食害に注意します。放っておくと被害が大きくなりますので、見つけ次第、オルトランなどで早めに駆除します。

また、一度発生すると、翌年度も発生しやすいので、6月頃からオルトラン粒剤などを定期的に撒いて防除します。

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