ジギタリス

ジギタリスの花
写真 ジギタリス
撮影時期 2017.5.7
栽培状況 前年の春まき後、庭植え(厳冬期のみ不織布で保護)

科名

ゴマノハグサ科

属名

ジギタリス属

学名

Digitalis purpurea

園芸分類

二年草、宿根草

別名

キツネノテブクロ

原産地

ヨーロッパ、北アフリカ、アジア

主な用途

庭植え

花期

5〜6月

【ジギタリスについて】

ジギタリスは、地中海沿岸を中心に中央アジアから北アフリカ及びヨーロッパ原産のオオバコ科の宿根草です。葉に強心成分を含んでいるので、昔から薬用に栽培されてきましたが、花も美しいので園芸種としても品種改良がなされてきました。

園芸用に栽培されているのは、主にヨーロッパ南部原産のプルプレア(Digitalis purpurea)です。耐暑性が弱いことから通常は春まきの二年草として扱われます。花は大型で非常に特徴がありますので、すぐ覚えることができます。

ジギタリスは大型で花が美しいので、タネから育てて花壇に植えてみたい草花ですが、夏の高温多湿に弱いことから、温暖地の場合は苗の夏越しがポイントになります。

【栽培メモ】

タネは微細ですがよく発芽し、ポットに植え替えるところまでは特に難しいことはありません。花壇に植える場合は、春まきにして、ポリポットに植えたまま涼しいところで夏を越させ、秋の定植時期までに、しっかりした苗に育てることが大切です。

ここに掲載している上の3枚の写真は、春まきにして秋になってから花壇に植え付け、厳冬期は不織布でトンネルをして育てたものです。翌年の春に花穂が背丈近くまで伸びて、よく咲いてくれました。

秋に播いたこともありますが、春までに十分な大きさの苗にならず、咲いた株も貧弱な花になりました。また、その後の夏の高温多湿で枯れてしまい、よい結果は得られませんでした。

なお、最下段の写真は、ダルメシアン種ですが、こちらは、12月頃に花が咲き始め、−2〜−3℃という日がありましたが、さほど花が傷むことはありませんでした。

【育て方は下へ ↓ 】

【ジギタリスの概要】

草丈

1年目はロゼット状に葉が展開するだけですが、2年目には花茎が大きく伸び、プルブレアは、1.2〜1.5mほどになります。

鐘型の花が長い穂状に咲きます。花弁の内側に斑点が見られるのがこの花のもう一つの特徴です。花色は、白、桃、薄紫等があります。

なお、品種によっては斑点のないものもあります。また、一般のジギタリスは開花に冬の低温を必要としますが、'ダルメシアン'のように低温を必要としない品種もあります。

ジギタリスの花

耐寒性・耐暑性

耐寒性 強い
耐暑性 弱い

耐寒性は強いですが、耐暑性が弱いという性質を持っています。温暖地の場合は、花が咲いた株は夏に枯れてしまいますので二年草扱いになります。

(強い、比較的強い、やや弱い、弱い、の4区分。判断基準は、こちら

栽培難易度

※ タネから育てる場合:やや難しい

※ 苗から育てる場合:やさしい

(やさしい、比較的やさしい、やや難しい、かなり難しい、の4区分)

学名の説明

Digitalis・・・・・ digitus(指)が語源です。
※ 花の形が指サックに似ていることに由来します。

purpurea・・・・・「紫の」

【主な種類と品種】

'フォクシー'
'Foxy'

花穂が30〜40pになる桃色と白色の混合種です。

ダルメシアン
'Dalmatian'

やや上向きに咲いて花弁の斑点が目立つ品種です。1株から6〜7本の花茎が出てボリューム感があります。花色をミックスしたタネが販売されています。この品種は、開花に冬の低温を必要しません。(写真:最下段)

メルトネンシス
D. x mertonensis

プルプレアとグランディフローラ(D. grandiflora)の種間交配種です。内側の斑点がないので、斑点が気になる人にはおすすめです。草丈は80〜100p、花色はピンクです。

【 育て方 】 −私はこう育てる−

栽培のポイント

※ 関東以西の温暖地で、タネから育てて花壇に植える場合は、春播きにして、夏はポットに植えたまま涼しいところで育て、秋に定植します。

タネまき

秋まきでは、開花が翌々年になりますが、その年の秋に花壇に植えると、寒冷地を除いて翌年の夏に高温多湿で株が枯れることが多くなります。そこで、温暖地の場合は、通常は、4〜5月ごろに箱まきにします。

微細種子ですので、水やりは底面吸水か霧吹きで行います。また、好光性のため覆土は必要ありません。タネは小さいですが、発芽は良好です。

発芽後、本葉が3〜4枚になったら、ポリポットに植え替えます。温暖地の場合は、苗が定植できる大きさになっても、すぐに花壇に植え付けると、梅雨や夏の高温多湿でうまく育ちません。

そこで、3号ポットの底に根が回ったら、一回り大きい4号ポットに植え替えて、雨の当たらない、半日陰の涼しいところで、また、真夏は明るい日陰で、やや乾燥気味に育苗します。ポットの用土も、水はけのよいものを使います。

高温期にポットが過湿になると枯れる割合が高くなります。特に、苗が大きくなってくる7〜8月頃は、雨に当てないようにしたほうが安全です。

ジギタリスの花

植え付け

植えつけ前に、苦土石灰を1u当たり100gほど撒いて、耕しておきます。

花壇で育てる場合、温暖地では、涼しくなってから定植します。私は、秋の彼岸まで待って植え付けましたが、それだとあまり枯れる株は出ませんでした。

花壇に植える場合は、植えつけの際、腐葉土(又はバーク堆肥)を1u当たり10Lほど入れて、庭土とよく混ぜてから植えつけます。

寒冷地の場合は、苗が大きくなったら、すぐに花壇に植え広げ寒冷紗などでで遮光して育てることができます。

鉢やプランターで育てる場合は、苗が大きくなったら、秋まで待つことなく植え付けできます。

鉢植えの用土

市販の草花用培養土、あるいは、赤玉土と腐葉土(バーク堆肥)を2対1程度に混ぜたものなどを使います。

株間

花壇に植える場合は30pほどにします。60pの標準のプランターに植える場合は3株を目安にします。

植え場所、置き場所

半日陰でも生育しますが、日当たりと水はけのよい乾燥した場所が最適です。寒冷地以外では、開花後に宿根させるのは難しいので、花壇に植える場合は、二年草と割り切って日当たりと水はけのよいところで育てるようにします。

水はけが悪いと根腐れを起こすことがあります。

鉢やプランターで育てる場合は、植え付け後、夏が近づいてきたら半日陰に移し、真夏は明るい日陰に置くようにします。秋になって涼しくなってきたら、だんだん日当たりのよいところに置くようにします。

ジギタリスの花

日常の管理

草丈が高くなってくると、風雨で株が倒れやすくなりますので、支柱を立てておきます。

咲き終わったら実をつけないよう早めに花茎を切り取ります。そうすると二番花を楽しむことができます。

冬の管理

ジギタリスは耐寒性が強く、通常は、霜よけなどは必要としません。

ただし、冬が来るまでに充実した苗に育っていない苗を花壇に植えざるを得なかった場合などは、春までに大きい充実した株にするため、厳冬期の間だけは不織布を掛けるなどして生育を助けるのもひとつの方法です。

もっとも、開花に冬の低温を必要とする種類が多いので、霜除けの方法と霜除けする期間には注意します。

私は1月中旬から2月上旬ごろに不織布でトンネルをしましたが、それだと特に問題なく花芽が出てきました。

肥料

花壇に植える場合は、元肥として1u当たり化成肥料を50gほど施します。3月に追肥として化成肥料を20gほど与えます。

鉢やプランターに植える場合は、植え付け時に緩効性の化成肥料を元肥として与え、後は、秋と春に2週間に1回程度液肥を与えます。市販の草花用の培養土を使用するときは、培養土に元肥が入っていますので、元肥は不要です。

病気・害虫

それほど被害を与えるものはありません。

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